top of page
執筆者の写真坂田大輔

急遽リクライニングに

9月も半ばに入りました。依然として真夏日が続いておりますが、朝晩の風がとても気持ちよく吹いてくれて嬉しいです。

 

さて、先日は転院のお手伝いをさせていただきました。数日前からご予約をいただいており、通常の車椅子での移動のご依頼でした。車椅子を準備して病棟に向かうと、看護師さんたちが「あ~…車椅子か…。」といった反応でした。話を伺うと今朝から吐き気があり、数回嘔吐されたとのことでした。今は食べたものは既にすべて吐き出されており、胃液しか出てこないとのことでしたが、それはさぞかし苦しいことでしょう。ご本人様はまだベッドに横になっており、看護師さんが移乗のために数人集まってきたところでした。

 

すぐさま、「車椅子をリクライニングにすると多少楽になるかもしれない」と思い、提案すると、「非常に助かります!」とのことで、少しお時間をいただき、車までヘッドレスト(頭を後ろから支える枕の付いた部品)、クッションとブランケットを取りに走りました。カチャッと取り付けてリクライニング車椅子に早変わり。ベッド横に寄せて移乗します。看護師さん数人で声をかけますがご本人様は理解ができず、ベッドのサイドレール(横にはめた柵)にしがみついて「今動かしたらいかん!」と抵抗します。やはり動くと気持ちが悪くなるのかとも思いますが、転院しなければいけませんので、そこは丁寧に声をかけ、サイドレールから手を放していただきゆっくりと移乗していただきました。背中もだいぶ斜めに倒したので、「姿勢は苦しくないですか」と問いに静かにうなずかれました。よかった。ご家族様にも会って一言二言声を交わし、少し楽になったご様子でした。

 

乗車前に外へ出ると「暑っつ~」と声が出ました。ご家族様は別の車での移動でしたのでご乗車はご本人様ただ一人。お見送りの看護師さんが「一応何かあったときのために」と厚手のビニール袋をくださいました。できるだけ揺れないようにゆっくり走りました。時折キョロキョロと周りを見渡すような動作はあっても、さほど揺れを気にする様子もなく目を閉じて落ち着いていらっしゃいました。

 

目的地の病院に着き、看護師さんたちと一緒にご本人様を抱えてストレッチャーに移っていただき終了です。別の車で移動してきたご家族様にもお会いすることができて、無事のご報告をすることができました。

 

今回のように移動の当日に患者様の状態が変わることはしばしばあります。今回は転院できたのでよかったですが、前日や当日に転院や退院の延期が決まることもありますし、時にはご逝去され、中止になることもあります。元気な方の為のタクシーではないので、これは仕方のないことですね。できる限りの対応をさせていただきたいと思っております。

今後ともよろしくお願いいたします。

 

写真は快晴の新町漁港です。

 

 



Commenti


最新のお知らせ
過去の記事
Follow Us
  • White Facebook Icon
bottom of page