ご夫婦で受診
この記事を書いております今日の予想最高気温は、なんと38℃。体温なら寝込むような温度です。太陽の熱はもちろん、アスファルトからも力強い熱を感じます。これが土ならこんなにも熱くはないだろうに…。と思いますが、二丈でも田畑は消え、容赦のないアスファルト化が進んでおります。いったい世界はどうなってしまうのでしょう。
さて、先日は認知症の症状のあるご夫婦の受診の送迎をさせていただきました。普段は娘様が同行されていたそうなのですが、娘様が体調を崩されたとのことでご依頼をいただきました。お迎えにあがると娘様が申し訳なさそうに「すみませんがよろしくお願いします…。」とおっしゃいます。すると、お父様が「あー!よろしくお願いします!お世話になります!すみません!」とニコニコと出ていらっしゃいました。奥からはお母様が「あれは持ったこれは持った…」と、つぶやきながら出ていらっしゃいました。お二人ともゆっくりですが、歩行はできておりましたので、後部座席にご乗車いただきます。
クリニックに向かう道中、病院以外の外出をする機会が全くないというお父様は、ご機嫌でいろいろとお話をされていらっしゃいました。直線道路や海の見える道で「いや~気持ちいいですなあ~!」と感激されていらっしゃいました。そのうち「会社はどちらですか?」「何台持っておられるとですか?」と質問が始まると、お母様が小さな声で「運転中やけん話しかけたらいかん。」とおっしゃいます。「あ、そう。」としばらくの沈黙です。
クリニックに着くとお母様がすかさず支払いをされようとするので、自宅に帰ったところでまとめて娘様より頂戴することを説明します。受付まで一緒に行き、スタッフの方に事情を説明し、受診終了後に受付から私にご連絡をいただけるようにしました。ここで一旦お別れですが、お父様が「ありがとうございました!助かりました!すみません!なんもわからんもんやけん!」と頭を下げます。ちゃんと受付に話してあることと、自分がまたお迎えに来ることを説明します。その日はクリニックを二件はしごしました。どちらの医院もかかりつけですのでとても親切にしてくださり、安心でした。すべて終了しご自宅に着くとお疲れなのかお父様の足取りがおぼつかないご様子でしたので、しっかり横について一緒に玄関まで歩きます。お母様はすぐに現金を出して支払おうとします。計算をしたのちに娘様から頂戴するのでお母様が今支払う必要はないことを説明します。一旦車に戻り計算をして玄関に戻ると、娘様がお待ちでした。「大丈夫でした?おしゃべりでしょ?」とおっしゃるので、「いやいや、とても楽しそうでしたのでよかったです。」と返すと「そうなんです、帰ってくるなり『楽しかったー!』って言ってました。」とのことで、私も嬉しい気持ちになりました。すると奥からお母様が冷たいお茶をお盆に乗せてゆっくりといらっしゃいました。丁寧に「ありがとうございました。」とお礼をいただき、「こちらこそありがとうございました。無事に帰ることができてよかったです。」とお伝えするとにっこりと笑顔を見せてくださいました。冷たいお茶を飲み干す頃に今度はお父様が塩飴を持ってきてくださいました。なんとも暖かいお二人でした。次回は少し間が空きますので、娘様の体調がよくなっていれば必要ないとのことでしたが、また機会があればご一緒しましょう。
ありがとうございました。
写真は泉川河口付近です。雲が見当たりません。
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