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執筆者の写真坂田大輔

悔いなし

福岡はすっかり葉桜になりました。花のころは少し肌寒い日が多かったのですが、ようやく本格的に暖かくなってきたようです。


さて、先日は一人暮らしの方の受診の付き添いをさせていただきました。ご自宅内は歩行器で移動されているようですが、外出は車椅子とのことで、今回初めてご利用いただきました。


お迎えに上がると家の中から会話をする声が聞こえたので、お客さんかヘルパーさんがいらしているのかと思ったのですが、大きなテレビの音でした。呼び鈴を押すとその声がピタッと止まり、ご本人様の「は~い」というお元気な声が聞こえました。


ウッドデッキにスロープが設置されており、基本的に出入りはベランダからされているとのことでこちらからお邪魔します。準備はすっかり整っており、歩行器を使って立ち上がり、ご自身で車椅子へ移られました。そして出るときはベランダの窓が外側から鍵を閉めることができないので、まずご本人様はウッドデッキまで出ていただいて、しばらく春の日差しを浴びていただいている間に、私はベランダの鍵を内側から締めて玄関から出てきます。そしてご本人様の鍵をお借りして外側から締めるという段取りです。


ウッドデッキのスロープを降り、車のスロープを上り乗車して出発です。


病院に着いて受付です。ご本人様ははっきりとお話をすることができるのですが、指先がうまく使えないので、保険証を取り出したりする動作をお手伝いします。


待合室のテレビの前に二人で座って待ちます。長い待ち時間の間に、いろいろとご自身の昔のお話をしてくださいました。テレビでは旅、グルメ番組が流れておりましたので、思い出したように、車が大好きで自分で運転して友達を乗せてたくさん旅行したことや、海外にもかなりいろいろと行かれたお話などを聴かせてくださいました。


ご本人様が


「今は自由に動けなくなってしまったけど、動けた頃に行きたいところには全部行ったし、やりたいこともやったので全然悔いはないわね。」


とおっしゃっていたことがとても印象的でした。

とても明るい方で、サバサバとお話になります。


すばらしいですね。なかなかそうは言えないと思います。もちろん今自由が利かない「歯がゆさ」はあると思いますが、そのように言い切ってしまう強さでいろいろな困難を乗り越えていらっしゃるのだと思います。かっこいい方だと思いました。


そんなお話をしながら無事に診察を終え、デイサービスまでお送りして終了です。


また行きましょう。そしてまた楽しいお話を聞かせてくださいね。

僕も悔いのないように楽しめたらいいなあと思います。

ありがとうございました。


写真は船越漁港の朝。

釣りをしていた方に挨拶をしたら、「コッパグレもおらんばい。」と言って片づけていらっしゃいました...。「まだ水温が低いっちゃろうね。」とのことでした。



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