海へ

９月も後半に入りぐっと涼しくなりました。そよぐ風が心地よいですね。

そして、お彼岸にはきちんとヒガンバナが咲きました。毎年きっちり秋分の日に咲くヒガンバナには本当に感心します。

そして金木犀の花も咲き始めましたね。甘い香りが漂ってきます。

さて、先日は重い病気を患った方の気分転換のドライブのお手伝いをさせていただきました。元々はご家族でごちそうを食べに行く予定でしたが、残念ながら体調を崩されてしまい近場のドライブに変更となりました。お昼過ぎにご自宅にお迎えにあがるとご家族様が大勢集まられており、昼食は皆様で賑やかに召し上がられたようでした。

ご本人様にお会いし、用意したリクライニング車椅子に移乗していただく際も、以前のようにうまく立ち上がることができずに歯がゆい思いをされておりました。リクライニングを倒しできるだけ楽な姿勢をとり、いざ出発したのですがしばらくするとやはり姿勢が辛くなってきたようで、一度止まってリクライニングの角度を調整して姿勢を整えます。めいっぱい倒して寝ているような状態やほぼ直角で座っている状態など、止まって走ってを数回繰り返しながら少しずつ進みます。

以前訪れたことのある海の見えるカフェに行ってみようかということになりましたが、あいにくお休み。少し離れた海沿いのパーキングまで行こうかという話にもなりましたが、道も混んでおり、ご本人様の体調も優れなかったので、近場の海の見える場所に車を停めてしばらく潮風に吹かれよう。ということになりました。

「久しぶりやな～。」と感慨深げに海を眺めていらっしゃいました。しばらく過ごした後、海を背景にご家族様たちと写真を撮り、さあ、身体もしんどいので長居はせずに帰ることにしました。さほど距離は無いのですがやはり途中で姿勢を変えたり、一度降車して支えながら一度立ち上がって腰を伸ばしたり、少しでも楽な姿勢を探しながらようやく自宅へ戻りました。

到着すると身体は辛いはずですが、せっかく外に出たのでということで家の周りの気になる場所を少し見たいと、あちこち回って確認されておりました。

ひとしきり見て回ったのち、ようやくベッドに横になり楽な姿勢をとるのですが、それでも身体の痛みが無くならないと嘆きながらも、

「今日は久しぶりに楽しかった。ありがとう。」

と小さな声でおっしゃっていただきました。聴いた私は涙がでそうになりました。

「きっとまた良くなってドライブに行きましょう。」

とお声掛けをさせていただき退室しました。

ぜひ、どうにか良くなってまたお出かけしたいですね。

ありがとうございました。

外の空気を吸ったり、青い空や白い雲、広い海を眺めたり、暖かい太陽の温度を感じたりすることは、とてもいい気分転換になりますし、少し元気になりますよね。

これからしばらくはとても気持ちのいい季節です。家や施設にいる時間の多い方は、ぜひ外の空気を吸いに出かけてみませんか。

写真は二丈の白いヒガンバナ。別名曼殊沙華（まんじゅしゃげ）。