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  • 執筆者の写真坂田大輔

息子様とお買い物

今年は各地でかなり大雨になりましたね。 昨日は「ようやく梅雨明けかな」と思うような久しぶりの青空が見えました。 さて、かなりスケジュールの空いたある日の朝、数少ないご依頼に出かけようとしたとき、 「今日の午前中いかがですか」 「今日の午後はあいてますか」 と当日のご依頼がどどっと殺到した日がありその中に「お買い物に行きたい」といったご依頼がありました。 この方はもう何年もご利用いただいている方なのですが、月に一度の受診以外のご依頼は今回が初めての事でした。その日は天気も良く、その他いろいろと都合が良かったのでしょう、別居している息子様もご自宅にいらっしゃり同行されました。 30年ほど前まで住んでいたという地域の近くにあるショッピングモールへ行き、お食事とお買い物をしたいとの事です。お迎えに行くといつもよりも表情も着ている服も明るいような気がしました。 いざ出発。デイサービスと病院以外の外出をする機会がないので、普段通らない久しぶりの道を通り「あらーこの辺はずいぶん変わったわね。」ときょろきょろと見渡します。「この右手にお魚屋さんがあったの、あんた知らんめ」と息子様に話しかけます。「知らんね~」もちろん私も知りません。ご本人様の頭の中にはきっと昔の街並みがくっきりと浮かんでいたのでしょう。 「あれ、もう着いた。早かね。」 車いす専用の駐車場に停めて降りていただきます。予めお迎えの時間をある程度は決めましたが、せっかくなので時間は気にせずゆっくりしてくださいとお声掛けをさせていただきました。 ところが予定の時間のずいぶん前に「何時頃来れますか?」とお電話があり予定より早く迎えに来ても良いとのこと。とは言え私もその間に他の方の対応が一件ありましたので、終了次第戻って予定より30分程早いお迎えとなりました。息子様の都合かご本人様の都合なのかはわかりません。「わたしはいいとよ」とぼやかすのであまり深くは聴きませんが、車椅子を押すグリップにはいくつか買い物袋が下がっており、お食事もされたとの事で十分楽しまれたようでした。 帰り道の途中に息子様の自宅の近くを通るのでそこでお別れです。 息子さんがいなくなってから、「まったく息子は力がないけん、トイレに行ったっちゃ便器にも座らせきらんちゃけん」と、ちょっと愚痴をこぼされておりました。「いやいや、片側麻痺のある方に車椅子から便器に移っていただく介助は、力のある大人でも簡単にはできないんですよ~。」と心の中で思いながら、「難しいですからね~。」とだけお返事させていただました。 ともあれ、無事に自宅に着くと、ご本人様はいい気分転換になったと喜んでいらっしゃいました。私もずっと受診の対応しかしていなかったので今回はとても嬉しかったです。 「またいつでもお声掛けください。私が付き添いをすることもできますからね。」 とお伝えさせていただきましたが、介助に不満があってもやっぱり息子さんとの時間を過ごすことが楽しいんですよね。絶対その方がいいと思います。良かったです。また行きましょう。 ありがとうございました。 写真は志摩小金丸から望む火山。 244mの低山ですが山の向こう側に広がる眺めは絶景です。

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