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執筆者の写真坂田大輔

八ヶ月ぶりの帰島

冷たい雨が降っております。 あっという間に寒くなり、秋の深まりを感じます。 あちこちから金木犀の香りが漂ってきますね。 さて、先日は八ヶ月ぶりに対馬に帰られる方の、博多埠頭までの送迎のお手伝いをさせていただきました。 八ヶ月。詳しい病状は伺っておりませんが2月に福岡にいらっしゃり、市内の大きな病院を転々とされ、ようやく帰る事ができるとのことでした。 しかし座位の確保は難しくリクライニング車椅子でかなり寝かせての対応です。 奥様と娘様が同乗され埠頭へ向かいます。乗り場のすぐ近くまで車を寄せさせていただき、降車します。車椅子の方は優先的に乗船させていただけるので列の一番前で待たせていただくことができます。すると既に乗船手続きを済ませた息子様がいらっしゃり、更に娘様が合流、そして地元の知り合いの方でたまたま福岡に来ていらっしゃる方がお見送りに来てくださいました。乗船までの待ち時間はとても賑やかなひとときになりました。 車椅子のご主人様を囲み「島に帰るよ。」などと声をかけられ、マスクをされたまま小さな声で何か応えていらっしゃり、奥様が耳を寄せて聴いていらっしゃいます。

乗船は一番最初に船内に入れていただき、ここからは船の男性スタッフの方にもお手伝いをいただきます。通常の座席の肘掛けを上げてベッドのような状態にしたところに横になっていただくのですが、通路は狭く横付けはできません。できるだけ寄せて男性数名で抱えて移動しました。私と娘様で肩甲骨辺りから頭の位置を毛布をお借りして上げるなど体位を整え、フェリーの係の方が特別なシートベルトをかけます。他の乗客が乗ってきますので私はご挨拶を済ませ速やかに下船しました。 長い間自宅を空けて地元に帰る。特に地元が「島」となるとご本人様は勿論、迎える側にも特別な思いがあるのでしょう。「島に帰る」という響きがなんとも嬉しい感じがいたします。良かったですね。 ありがとうございました。 写真はその日の博多埠頭。(ベイサイドプレイス) 天気も良く海も穏やかに凪いでいました。

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