お見舞い
- 坂田大輔
- 6月20日
- 読了時間: 3分
先週は梅雨らしい雨の一週間を過ごしたかと思えば、今週は真夏のような暑さとなりました。熱中症にならないように、水分をしっかり摂って元気にこの暑さを乗り越えたいですね。
さて、先日はお見舞いのお手伝いをさせていただきました。施設にお住いの方で、歩行器を利用して歩くことはできるのですが認知症の女性です。施設のケアマネージャーさんからのご依頼で近くの病院までの送迎と付き添いとのことでした。
お迎えにあがると施設のスタッフの方と一緒にいらっしゃり、タクシーの横の扉から、一番近い補助席にご乗車いただき、歩行器も積んで出発です。天気は雨が降ったりやんだりでしたが、出発して間もなくするとたたきつけるような強い雨がザーッと降ってきました。
病院に着きましたが、車止めに屋根がないため大きな傘をさしかけて一緒に歩きます。私が受付をして一緒に病棟へ上がりました。看護師さんが迎えてくださり、面会記録にはご本人様に記入していただきました。
病室へ入るとご主人様はぐったりと横になっており、目を半分閉じているような状態でした。奥様は驚いた様子で「まあ、こんなになってしまって…。」「私ですよ、あなたの奥さんです。○○です。」と話しかけても返事はありません。「いつからこんな状態なんですか?ご飯は三食食べれてるんですか?」と私に聴かれましたが、私は今回初めての対応でしたのでその情報は全く知りませんでした。そこへ看護師さんがいらっしゃったのでお話を聴いたところ、調子のいい時はお話もできるし、ご飯も完食されることもあるとのことで、たまたま今の状態が調子のよくないタイミングだったようでした。奥様は「そうですか、はあ、はあ、」と頷いていらっしゃり、更に看護師さん曰く「多分聞こえていると思うので、たくさん話しかけてあげてください。」とのことでした。その後奥様が「眠いと?きついと?聴こえる?」「ごはんは食べよると?」「○○さんは来た?」などと話しかけていらっしゃいましたが、ご主人様の顔は動くのですが、発語はありませんでした。
15分という短い面会時間が終わり、お別れです。奥様は「びっくりして涙も出ません。もう少し早く来ればよかったね。」と独り言のようにおっしゃっておりました。
私は「また来ましょうね。今度は調子がいいといいですね。」と声をおかけして一緒に病室を後にしました。
外へ出るとさっきまでの大雨はすっかり止んでいました。車に乗って施設へ帰りながら、奥様と少しお話をしました。「涙も出ない」と再三おっしゃるので、「そうですね、びっくりしましたね。」とお声掛けをして、最後にご主人様に会ったのはいつなのか、どんな生活をしていて、奥様はいつごろから施設に入所されているのか、などの質問をしましたが、奥様からのお返事はありませんでした。色々なことが頭を巡り、少し混乱してしまっていたのかもしれません。
どのようないきさつで今回のお見舞いに至ったのかを私は存じ上げませんが、奥様が大きなショックを感じていたことだけは確かだと感じました。ただ、認知症で、最近のことを思い出すことができなかったり、現在の場所や時間を把握することができなくなっていた場合は、もしかすると、今後またお見舞いに行った場合、また初めて知ったような気持ちで、同じような悲しい気持ちになってしまうかもしれません。そして数日たった今は、そのことはすっかり忘れて穏やかに過ごしているかもしれませんし、それはそれで幸せなのかもしれないとも思い、複雑な気持ちになりました。
穏やかな日々でありますように。ありがとうございました。
写真は二丈深江、一貴山川河口の夕陽です。

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