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執筆者の写真坂田大輔

奥様への愛情

秋の冷たい雨が降っております。 しかしコスモスが満開ですね。 先日は雨の中、「施設のイベントで車窓からコスモスを眺めました。」というご利用者様がいらっしゃいました。「雨でも出かけられたからよかった。でもやっぱり車から降りたかったわ。」とおっしゃっており、やっぱり「車椅子生活の方が外へ出る」という事は特別な事なんだなあと思わされました。 さて、先日は日帰りの一時帰宅をされる方のお手伝いをさせていただきました。 施設にお迎えにあがると既に準備万端。娘様とご主人様が付き添っていらっしゃいました。ご挨拶をしスロープから乗車をすると、ご主人様はご自身の車でささっとご自宅へ戻られました。娘様が同乗されご自宅へ。ご自宅に到着するとすぐにご主人様がいらっしゃり、「はい、あとは大丈夫です。」と笑顔でおっしゃり車椅子を押します。玄関が狭く、縁側から上がる予定との事でお庭に回ると、縁側は結構な高さがあり、「さて、少しお手伝いをいただくか、もしかすると玄関の方が入りやすいのでは?」と思いお話を始めるか始めないかという時に、ご主人様が「いやいや、大丈夫です。もう私が抱えていきますから。」と、いわゆるお姫様抱っこの形でのしのしと部屋の中へ連れて行ってしまいました。驚くべきご主人様のパワーでした。細身の奥様でしたが、同じぐらいのお歳のご主人様が軽々と抱き上げて移動しましたので、ご親戚一同と私も唖然としてしまいました。とにもかくにも無事に帰宅できてなによりです。 帰りのお迎えにあがり、ご無理せずに今度は私が抱えましょうとお話をするも、「いやいや大丈夫ですよ。」とまた笑顔でおっしゃりひょいと抱え、縁側下の車椅子へ移乗しました。その間奥様はただ遠くの一点をみつめるばかりです。

今回はご自宅をしっかり拝見すればもっと安全な導線と移動方法があったかもしれません。 しかし、おそらくご主人様が一生懸命に考えられ、シュミレーションされた一日の流れ、施設~自宅、自宅での過ごし方~施設までのイメージがあり、その通りに流れることができたのだと思います。ご自宅には他にもたくさんのかたが集まっていらっしゃったので、きっと楽しいひと時を過ごせたことでしょう。

多くを語らないご主人様ですが、長年連れ添ってきた大好きな奥様に対する愛情と、全ての介護はできなくてもできることは自分でしたい、という気持ちと姿勢がひしひしと伝わってきて、とても嬉しい気持ちになりました。 素敵なご夫婦です。また帰りましょうね。 ありがとうございました。 写真は少し前の物ですが、泊あたりから眺める可也山。 この角度がかっこいいですよね。 もう稲刈りはほぼ終わってます…。

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